3月27日(日)17:00より開催予定の大人の教養講座。
講師に町おこし系YouTubeチャンネル「八王子国の歩き方」を運営する人気YouTuberの中野智行さんをお招きします。

連載第5回目となる大人の教養講座インタビューは、今回も座右の書やお気に入りの旅先から講師の方の価値観に迫ります。

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【インタビュー】

氏名:中野 智行さん

職業:肌着専門店イツミヤ代表 町おこし系YouTubeチャンネル「八王子国の歩き方」を運営

座右の書:スタンダップ・コメディの勉強 アメリカは笑っている

著者:高平 哲郎 初版:1994年
【内容情報】
スタンダップ・コメディとは、アメリカ特有のお笑い芸。人気TV番組『サタデー・ナイト・ライヴ』出身のコメディアン、ジョン・ベルーシ、エディ・マーフィーらの活躍で、日本でも広く知られるようになった。この笑芸の源泉を求めて、マルクス兄弟、ボブ・ホープなどを論じ、日米の笑いの違いを鮮やかに解明する。

ーこちらの本をご紹介いただけますか。

昔からお笑いが好きなんです。それでスタンダップ・コメディって興味があったんですが、日本に入ってこないからこういう本で読むしかなくて、読んだらめちゃくちゃ面白かったんです。
スタンダップ・コメディやアメリカのコメディのあり方に、多種多様なアメリカがうまくいってる秘訣があるんじゃないかと思ったんですね。

スタンダップ・コメディはすごい悪口を言ったり、黒人バカにしたり黄色人種バカにしたり、白人バカにしてやりあったりするんだけど、最後には笑っているものを笑うって形に落とすパターンが多いんです。
笑っている自分たちをもコケにして笑いにしちゃうんですね。

何やってるかというと、相対化してるんですね。怒りをぶつけ合ってるの。
コメディって誰の中にもある悪意を小爆発させる装置なんです。
自分の中の悪意をうまく笑いに昇華させて浄化するのは、人間が長年かけて獲得した知恵ですよね。
若いギャングが喧嘩しないために競技化したヒップホップのラップバトルやブレイクダンスも同じです。
今はクリーンな世界を目指して、人間の中の悪意をないことにして「こんなこと言ってはいけない」で終わらせてしまう。悪意を排除してしまう。
愚かだし危険なフェーズに入ってると思いますね。

ースタンダップ・コメディの本場であるアメリカに行かれたことは?

アメリカには行ってないんです。

ーお気に入りの旅先は「電車に乗っていけるところならどこでも」と書いていただきましたが

電車って、乗ってる時間が1番楽しくない?そう言ってしゃべってる時が楽しいんです。
着いてからそうでもなかったりとかね。
車は酔うからあまり好きじゃなくて、飛行機もちょっと怖いし。

ー電車という交通手段が楽しみのひとつになっているということですね。

あの、移動している時が好きなんだ、きっと。
毎日違うところで目覚めたらいいなとは思う。
八王子のこの界隈と駅とさ、小さいところで暮らしてるから、旅行しているのが仕事みたいな人ってすごい羨ましいですね。

ー中野さんは肌着専門店を経営されながら、Youtubeチャンネルを運営されていますが、それぞれ始めたきっかけを教えてください。

肌着専門店は、父の代では洋服を売っていたんです。
安売りのビジネスモデルで、しまむらとかユニクロがなかった頃はそれが通用していたんですが、
もう今は安売りのビジネスモデルが寿命を迎えてしまったんで、専門店化した方が差別化できるだろうと肌着専門店にしました。

ーYouTubeは商店会の情報発信として最初は始められたんですか?

商店会と言ってもシャッター通りという状態なので、商店会活動ってできないんですよ、もう。
父親の世代の頃みたいにみんなで集まって何かやるってできなくなってしまったんで、ほとんど活動してなかったんです。
それで1人でもできること、動画で情報発信はできるかな、と。

ー動画を拝見したんですが、この商店街だけではなく八王子全体のPRチャンネルとして、フォロワー数が15,000人ほどに。八王子の情報発信というコンテンツだけでこのフォロワー数ってすごい数ですよね。

商店街の横のつながりを、やめようと。
ただ隣に住んでいるだけでつながるってことが、もう時代に合ってないんだろうと思って、心のご近所さんの方にシフトチェンジしました。
同じ方向を向いてる人がいたら、八王子市内だったら全部レポートしようと思ったんです。

ー「八王子国の歩き方」で取り上げられたお店が、1つの商店会になっているように感じました。
SNS時代の商店会というか、位置に関係なくプラットフォームを活用して、コミュニティーを作れるんだな、と。

ネット上でまた商店会になったらそれもいいんじゃないかと。その方が効率いいですよね。
ただ、このやり方だと多様性は失われるんです。
お隣に住んでるだけで包摂していたやる気のない店は置いていっちゃうわけですから。

ところが、八王子国が認知されてきて15,000のメディアになったら、今まで頑なに商店会入らなかった人が商店会に入ってきたんです。
難しい説明をして商店会が必要なんだって言っても、みんなつまらない。
あのおじさんなんか面白そうだな!なんか楽しそうなことやってるな!と見えることの方が人は集まりやすいということは良くわかりました。

ー今後やってみたいことに「ローカルニュース番組」をあげていただいております。

そもそも、それがやりたくてYouTubeを始めました。
どのメディアも、極端に右と左に別れたような話をしているんですが、きっとみんな、もっとバランスの取れた中庸なものを見たいし聞きたいと思うんです。
でも中庸なものってアテンションを集められないんで、視聴率稼ぎの為にどっちかにふっちゃうんです。
右も左も、極端なことは欲望なんです。中庸は知性なんで、需要って少なくて。
例えるなら、両極端が少年ジャンプだとしたら、中庸は純文学ね。
この中庸をうまくエンターテイメントと重ねて発信したいんです。
小難しくなく、面白く、学びと遊びを分離しないで提供することで、人がついてくるんじゃないかなと。

みんな知的好奇心は持ってるのに、アプローチするコンテンツがないんですね。
僕は難解加工って呼んでるんですが、難しいことを難しい言葉に翻訳したら、研究者の資料としてはいいのかもしれないけど、人類を照らすことにはならないですよね。
大学教授とかは情報を持っているのに表現が下手だから、お笑い芸人と組んで漫才にしてもらったり、漫画家と組んで漫画にしてもらってアウトプットすればいいのに。
情報吸収率にフォーカスしたら人類のリテラシーは上がっていくと思うんです。
シンプルな欲望の方に資本主義は流れていくけど、換金能力のない知的好奇心にアプローチすることが、世界を良くしていくには重要であると考えています。

ーありがとうございます。

3月27日(日曜日)
午後5時から2時間弱の講座を予定しております。
料金:2000円(ワンドリンク・おみやげ付き)
※今回も感染症対策の為、ギャラリースペースではなく1階の店舗内で開催予定です。
詳細は↓をご確認いただき、「申込フォーム」よりお申込みくださいませ。

ぜひお早めにお申し込みいただき、リアル中野さんとの楽しい時間を共有してください!!

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