先日、マルベリーフィールドを飛び出して立川のOneSelFにて行ってきた「出張講座!「禅僧に学ぶ、暮らしに活かす禅思考」」。
広福寺の副住職、宗源さんをゲスト講師として、参加者のみなさんと禅について学んできました。


■ 仏教とは

まずは禅の話に入る前に、仏教とはという話から。

「仏教とは、仏陀=目覚めた人の教えのこと。仏陀になったのは釈迦族の王子、ゴータマ・シッダールタ。立川ではなじみの深い『聖☆おにいさん』にも登場しますね」と、立川ならではのキャッチ―な話題からスタート。

「その教えは2,500年引き継がれてきた生きる知恵なので、大人の教養として知ってもらえたら」という入りから、仏教の話に入っていきます。四苦八苦という思い通りにならない世界に私たちは生きていること、そこで開いた悟りについて。諸行無常や諸法無我という言葉、聞いたことはありましたが、改めて解説いただくと「なるほどな」と思うことばかり。
そしてこの諸法無我とは「あらゆるものは関係しあって存在する」ということですが、それは最近「動的平衡」という言葉で知られるようになった科学的な見解にも通じる考え方だそう。

そして、そんな仏教によって、どうやったら苦しみが苦しみでなくなるのか。その方法はいくつもあり、それが宗派として分かれている、とのこと。どの宗派も「幸せに生きられること」という目指している山の頂上は同じだけれど、別の登山道から登っているイメージなんだそう。

■ 禅とは

「インドで『ディヤーナ』という瞑想とか心の平穏を表す言葉があり、それが中国に入って『禅那』という字を当てられ、それが『禅』になったんですよ。なので『禅』とは『心の平穏』という意味になります」とまずは言葉の由来からご紹介。

そして禅は私たちの生活の中でも言葉として使われていて、例えば、、こんな言葉があるそうです。

  • 「以心伝心」という「大切なことはこころからこころへ」という言葉
  • 「挨拶」という言葉も禅宗の言葉。ちょっとした声かけを通して、相手の心持ちを推しはかるということ
  • 「主人公」というのも、昔禅宗のお坊さんが毎朝空に向けて「主人公、お前は目を覚ましているか?」「はい、覚ましています」とやりとりしていたことに由来する言葉(自分を客観視するアプローチだったそう)

そしてお茶を飲んで1人でボーっとする(ひとやすみしてリセットする)ことも禅宗ではとても大切なことで、ぜひマルベリーフィールドでそんな時間を持ってほしいですね、というサービストークもいただきました。ありがとうございます。

最後に、禅宗の考え方から、こころの軽やかさを取り戻すためのポイントも紹介いただきました。

  • 断捨離に大切なのは「知足」
  • 欲はあっていい、でも振り回されてはいけない
  • メタ認知と脱「べき」思考
  • 無分別、ネガティブケイパビリティの大切さ

どれもとても大切で、暮らしの中に取り入れられたら心持ちもすっきりしていい気分で過ごしていけそうです。宗源さん、貴重なお話をありがとうございました。


■ 瞑想体験

休憩をはさんで、続いて実際に瞑想をしてみよう、という時間へ。

瞑想では「自分の心の動きを観察する」ことが大切で、「みなさんそういう時間を普段の暮らしの中で持つことは少ないのではないでしょうか」、と最初に宗源さんからお話が。

そしてやってみたのは、まずは感覚をつかみやすい「歩く瞑想」と、「ボディスキャン瞑想」。

ゆっくりゆっくり、半歩ずつ足を動かしながら足の裏の感覚に集中して歩いてみると、床の材質や温度、重心のブレに気づいたり。ボディスキャン瞑想では、床に寝転がって呼吸から体の各所に意識を集中することで、床の固さや心臓の鼓動や血液の循環を感じたり。
「何も考えないでください」と言われても、「考えないように」することを考えてしまう。なので、あえて1つのことに意識を集中することで脳は他のことを考えずに済み、とてもリラックスできるのだそう。みなさん、いろいろな気づきがあったようです。


■ 最後に座禅

最後は禅宗といえばの座禅をみんなで体験しました。

足を組めない方はあぐらでもOK、手の配置と姿勢について教えてもらい、座禅を組みながら瞑想。

途中で姿勢を正されたりもしながら、意識を集中してみます。
それぞれやってみた感想を聞いてみると別のことを考えてしまう人もいたようですが、「それに気づけた自分に気づけたことがいいこと。リセットして、『よし、またやろう』と次をはじめれば大丈夫」という話にちょっと続けてみようかなと思えた人も多かったようです。


終了後、何人か感想を聞いてみると、「禅には興味あったが、お寺に1人で訪ねて体験するのはなかなかハードルが高かったので今回のような機会はありがたかった」「とても内容が充実していて、暮らしに取り入れられることもあって続けてみようと思う」「座禅を組もうとして体の硬さを痛感した。まずは股関節の柔軟からはじめます」なんて感想もいただいて、みなさん参加してみてそれぞれに得られたものがあった様子。

あまり「毎日やらねば」と気負わず、ありのままの自分を受け入れながら、今回の話を聞いて変えてみようというきっかけがひとつでもあれば嬉しく思います。

広福寺では、毎月15日に朝6時から座禅会、毎月第二火曜に19時から写経の会を開催しているので興味を持った方はぜひ訪ねてみてください。
登壇いただきました広福寺の宗源副住職、どうもありがとうございました!