2020年12月29日
本年最後の営業日が始まろうとしています。
いつも通り朝4時半に起床してお店に入り、カツサンド用のカツをフライヤーで揚げながらラジオでニュースを聴くのが毎日の日課です。
2019年12月末に中国での感染症のニュースを耳にした時は「対岸の火事」のような心持ちでしたが、2020年に入り国内でも感染者が徐々に増え出し、4月に緊急事態宣言発令・・・。

そして緊急事態宣言の真っ只中の4月22日に創業者である父がこの世を去り、少人数で父を見送りました。
イートインのお客様は徐々に減り、「この先どうなってしまうのだろう・・」と不安に感じながらの営業でしたが、サンドイッチのテイクアウト窓口には近隣のお客様が足繁く通ってくれて、マルベリーは経営上の大怪我をせずに年末を迎えることができました。
心より感謝申し上げます。

「あなたのお父さんが本屋さんをやっているころから知っているのよ。頑張ってね」と去り際に声をかけてくれたお客様。ふと、子供の頃のエピソードを思い出しました。

毎朝5時頃に起床して、その日に入荷した本を陳列した後に軽自動車に本を積み込んで、近隣の美容室などに本を配達してからお店を開店させる両親。店の休みは月に2回しかなくて、その貴重な休みの日に家族で軽自動車に乗って出掛けた時のことです。
高速道路を小さなワンボックスの軽自動車はエンジンフル回転という感じで走っているのに、次から次へと乗用車に追い抜かれていくんです・・・。「両親は朝から晩まで働いているのに、なんでこんな車にしか乗れないのだろう・・??」負けず嫌いな私にとっては何とも残念な思いを味わい、それだけが理由では無いのですが会社員になる道を選びました。

それなのに、なぜだか、、、。
気がつけば30代後半に父の商売を引き継いでブックカフェを作り、毎日の帰宅時には「父さん!揚げ物臭い!!」と家族に言われる始末・・・勝澤だけに「歩くカツです」(笑)

でもコロナ禍中でわかりました。
中神で40年以上商売を続けた両親が「近くの本屋、カツザワさん」と言う目には見えない「地域との繋がりと信頼」を遺してくれたことを・・。緊急事態宣言下でのスタッフや私の頑張りはもちろんですが、この「信頼」という強い基礎があってからこそなんですよね、総崩れにならずに済んだのは・・・。

「目に見えない資産」を失わぬよう。
まだまだ、しばらくの間は気を許せない状況は続くかと思いますが、引き続き精進して参りたいと思います。

本日は朝に棚卸し作業がございます為、11時より18時まで営業。
新年は4日(月)朝7時より営業を開始します。
皆様、良い新年をお迎えくださいませ。